土壌汚染は、揮発性有機化合物や重金属、農薬等の不適切な取り扱いによる漏出や、これらの物質を含んだ排水が地下に浸透することが主な原因となってなって引き起こされるものです。
土壌は一端汚染されると、有害物質が蓄積され、汚染が長期にわたるという特徴があります。このような有害物質のうち、人への健康影響が生じるおそれのある物質を「特定有害物質」といいます。
次の表に特定有害物質の情報をまとめていますが、特定有害物質は私たちの生活の中でいろいろな用途に使われ、時として健康にさまざまな影響をおよぼしています。
また、最近では不動産売買等の土地取引において、土壌汚染問題の発覚のために土地の再開発に影響を与える事例が顕在化したため、土地を購入する際には土壌汚染が発生していないことの立証を求めることも一般化しつつあります。
「土壌調査のあり方」について、まとめてみましたのでご覧ください。参考となれば幸いです。
特定有害物質の情報
分類 | 項目 | 主な用途 | 人への障害 |
重金属 | カドニウム | 電池、顔料、メッキ、合金 | 腎機能障害、発ガン性 |
全シアン | 精錬、メッキ、金属表面処理 | 頭痛、呼吸困難 | |
鉛 | 顔料、蓄電池、鉛管、錘 | 疲労、貧血、発ガン性? | |
六価クロム | 酸化剤、メッキ、染料、製革 | 鼻中隔穿孔、発ガン性 | |
ヒ素 | 触媒、脱硫剤、半導体材料 | 食欲不振、発ガン性 | |
総水銀 | 電池、蛍光灯、触媒 | 中枢神経障害、発ガン性? | |
アルキル水銀 | 農薬、試薬など | 中枢神経障害、発ガン性? | |
セレン | ガラス、窯業、半導体材料 | 硬組織(爪、髪)の赤色化 | |
フッ素 | 防腐剤、殺虫剤、冷媒、ガラス | 斑状歯、骨脆弱性 | |
ホウ素 | 脱酸剤、ガラス、セラミック繊維 | 生殖毒性 | |
揮発性有機化合物 | ジクロロエチレン | 溶剤、冷媒など | 中枢神経障害、発ガン性? |
四塩化炭素 | フルオロカーボン類原料、溶剤 | 肝機能障害、発ガン性? | |
1,2-ジクロロエタン | 塩化ビニルモノマー原料 | 中枢神経障害、発ガン性? | |
1,1-ジクロロエチレン | ポリ塩化ビニリデン原料 | 肝・腎機能障害、発ガン性? | |
シス-1,2-ジクロロエチレン | 溶剤 | 中枢神経障害、肝機能障害 | |
1,1,1-トリクロロエタン | 金属洗浄剤、ドライクリーニング | 肝・腎機能障害 | |
1,1,2-トリクロロエタン | 溶剤、塩化ビニリデン原料 | 肝・腎機能障害、神経障害 | |
トリクロロエチレン | 脱脂洗浄剤、溶剤 | 精神障害、発ガン性? | |
テトラクロロエチレン | 脱脂洗浄剤、ドライクリーニング | 肝機能障害、発ガン性? | |
1,3-ジクロロプロペン | 殺虫剤(土壌薫蒸剤など) | 頭痛、肺水腫、発ガン性? | |
ベンゼン | 溶剤、ガソリンに混入 | 再生不良性貧血、白血病 | |
農薬類 | PCB | トランス、コンデンサー、熱媒体 | 皮膚・内臓障害、発ガン性? |
チウラム | 殺菌剤 | 催奇形性、肝機能障害 | |
シマジン | 除草剤 | 皮膚炎、生殖毒性 | |
チオベンカルプ | 除草剤 | 皮膚炎、生殖毒性 | |
有機リン | 殺虫剤 | 神経障害 |